(註:上げ損ねていたひと月前の記事です)
※この記事にストーリーに関する直接的なネタバレはありません。
[隔離された屋内で展開される、こてこてのSFミステリー]
序盤から【Xファイル】ばりの超常現象系ミステリー展開で、一般的ではない用語や塗り潰しが並ぶファイルがそこかしこに落ちています。
一見すると現実的な舞台であるビルへと訪れたひとりの女性が主人公なのですが、まるで誰かと話しているかのような独り言を繰り返したり、視点があやふやなカットシーンが挟み込まれたりと、のっけから話についてゆけるか試されている気分になります。
懐かしのフロッピーディスク。 ちなみに我が家には未使用の3.5インチと5インチフロッピー、ついでにMOとMDが積まれていたりします。 いつか使う……の? |
日本のメーカーがこういった展開を披露すると、「ファルシのルシガー」と茶化されて終わりな感じもしますが、あちらはこういった「いろいろとわからないままとりあえず始まって、ストーリー進行と共に真相が明らかとなってゆく流れ」の作風が受け入れられる土壌にあるらしいのがとても羨ましいです。
私はFF13の設定や世界観、語り口がけっこう好きでした。 ("▼")
「コクーン」から始まって「クレイドル」で終わる辺りとか、しゃれてるな、って。
[空気感そのものは、おとなしめ]
たまに異質な空間へと足を踏み入れるものの、舞台はほぼほぼ屋内で、ぱっと見たところでは「政府系の人間が勤務する質実的なビルとそこで働く人々」です。
同じく閉鎖されたエリアが舞台の【BioShock】のように造形や色彩が誇張された(もしくは誇張できる)世界観でもなく、超常現象を除けば「リアル」の枠に留めるよう努めて組み上げられています。
謎めいた連邦「操作」局での物語。 オブジェクト、そしてそれらを浮き上がらせる光と影の表現がステキ。 |
全般的におとなしい造りだからこそ、異質で非現実的な現象との対比が際立ち、「おっ」と驚くような場面とその演出が成立するのではないでしょうか。
これらの「見せ場」は、【神様もサイコロを振るかもしれない】の現実パートなどを書く上でも大いに参考になります。
ファンタジーのパートはどうとでも書けるんですけれどね。("▼")
個人的には、不可思議な無人モーテルで謎解きをする中、ふと【ツイン・ピークス】のホワイトロッジとブラックロッジが思い起こされました。
VHSビデオテープに録画してあるものを思わず観返したくなったり。
("ω") デッキ動くかわからないけど
なお、あるところで「♪ Take! Control!」と80年代ロック調の歌が流れ出しますが、私にとっての【Take Control】と言ったらTM NETWORKのそれです。
いままでの僕は本当の悲しみを知らずにいたんですよ! |
[三人称シューティングゲームとしては古典的]
古典的なゲームプレイが新しい技術を用いてブラッシュアップされている印象を受けました。
主人公のアクションと操作性、各種銃器の特性の違い、控え気味なダッシュや空中浮遊など、ゲームとしても世界観としても大げさにならない範囲に留まっており、地味と言えば地味なのですが、「超能力を身につけた生身の主人公」として納得のできる動きに仕上がっています。
私は空中戦の感覚などから、PS時代の【アーマードコア】をちょっと思い出しました。
千発マシンガンはさすがにありませんが。("ω")
足場が細い鉄骨みたいなものしかないところで、ブレード縛りの対戦を友達と繰り返した思い出が。
いわゆる「メトロイドヴァニア」なところもあって、隠し部屋や見つけづらい通路をノーヒントで発見しなければならなかったりもします。
実のところ私はそういった類いのゲームは苦手で敬遠気味だったりするのですが、【Control】は「隠している」というほど隠されてもおらず、「探すの面倒臭いな……」と投げ出す手前くらいの丁度良いさじ加減でした。
[攻略に際して]
わらわらと出現する敵との銃撃戦を含め、全般的に意外と歯応えのある難易度で、体力を上げていてもきっちりカバーする必要があったり、ギミックを理解して対処しなければならないボス戦などが存在します。
戦い方はわかっても、それを実践できるかどうかは別だったり。 |
とりあえずバリアと、付近の物を持ち上げて投げるスキル、敵の洗脳辺りを鍛えていけば、攻防の基本は整う感じです。
射撃は連射型強化でだいたいどうとでもなる感じでした。
むしろ、空中をふわふわと動き回る高機動型の敵が煩わしく、結果的にそうなった、という。
必要な能力がないと先へ進めないところへ、その能力がない段階で辿り着けたりもするので、攻略に詰まった場合はほかの場所やクエストを先にこなすのが吉です。
というか、「どうやってここを飛び越えるのかなー」と小一時間悩んだ場所がありました。
[感想]
「リアルさを重視するからこそアンリアルが活きる」という演出のお手本を見た気がします。
私なりに表現するのであれば、「現実と非現実の対比的共存」と言ったようなところがこの作品の最大の魅力ではないかと思います。
ゲームとしての派手さやオリジナリティには欠けるものの、動的なアートワークとして私の記憶には残る作品になりそうです。
血を流したり生首を並べたりせずとも、ありふれた物だけで狂気を表現できるという範例。 |
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