[こつこつと(骨に導かれ)]
では、どうして最後までプレイする意欲を保てたのかと言いますと、それはNPCの存在と、彼らが織りなす物語にありました。
この手のクラフトゲームにおけるNPCは、その役回りにおいて主人公と一対一の関係性で結ばれ、「武器屋」「道具屋」といった単純な役回りをゲームの「機能」として処理するための存在にすぎないことが多いと思います。
【Graveyard Keeper】は「墓地や農場を自分の好きなようにデザインしたり、手広く運営していくゲーム」――ではありません。
言ってしまえば「予めオブジェクトを配置できる場所がほぼ決まっているマップ内で、ストーリーを進めるために必要となるアイテムもしくはその材料となるリソースを生産・獲得する単純作業の連続」という内容です。
いわゆるリプレイアブルな作品でもないのですが、木材や石材を加工したり、パンが焼き上がるのを待ちつつハンバーガーの材料(特殊な肉)を整える……といった作業工程がクラフトゲームのつぼを押さえた造りになっているので、それらをこなす行為自体にほんのりと達成感や充足感があります。
あと、シンプルながら(本当にシンプルながら)敵の群れが待ち構えるダンジョンも存在し、鎧で身を包み、剣を振るって斬り抜けたりもします。
ダンジョンに挑む時だけコントローラに持ち替えました。 |
ゲーム全体の自由度は低く、「私の作ったオリジナリティ溢れる教会と墓地を観て!」「襲い来るゾンビを十字架ビームで迎撃するよ!」みたいなことができるわけでもないので、そういった作風を期待している方には最初からオススメできません。
そういうのを私は期待していたのですが、まったく違ったわけです。("ω")
この手のクラフトゲームにおけるNPCは、その役回りにおいて主人公と一対一の関係性で結ばれ、「武器屋」「道具屋」といった単純な役回りをゲームの「機能」として処理するための存在にすぎないことが多いと思います。
クエストという形で依頼を持ちかけられても、あくまで報酬としてアイテムを得る手数のひとつであって、言わば単発の小話が繰り返されていくわけです。
その点、この【Graveyard Keeper】ではプレイヤーとNPC間だけではなく、NPC同士の関係性も凝っていて、いつの間にかそれらに主人公が踏み込んでいくというシナリオに仕上がっています。
ひとりのNPCの「お使い」をこなしてゆく過程で、別のNPCとの関係性が徐々に明らかになっていくこういった手法はRPGの構造にも通ずるものがあり、シナリオを担当された方はそういったプロセスを組み上げる技術やセンスをお持ちなのだろうとお見受けします。
むしろ、NPC間の関係性を匂わせるだけ匂わせておいて、ゲーム中にはなんら回収せずにそのまま終わってしまうRPGもあるくらいで。
また、作品全体としてはピクセルアートによるコミカルやシニカルといった雰囲気で包まれていますが、その中を流れるテーマには「家族の再生」というものが感じられます。
そこもまた「どうにかしてあげたい」と思わせる理由でしょうか。
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